LO QUE LE PASÓ A HAWAii
解説
Overview
「LO QUE LE PASÓ A HAWAii」は、Bad Bunny(Benito Antonio Martínez Ocasio)の6枚目のスタジオアルバム『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』(2025年1月5日リリース)の14曲目。プロデュースはTainy、MAG、Big Jay、Luis Amed Irizarryが担当。プエルトリコの伝統弦楽器クワトロとボルドヌア(Luis Sanz演奏)、ギロ(güiro)、ピアノを取り入れたヒーバロ・スタイルのサウンドが特徴。作曲クレジットにはサンプル使用によりFlor Morales Ramos(Ramito)の名も含まれる(詳細はSamples節参照)。
曲のテーマの核心は、プエルトリコとハワイが経験してきた植民地化の類比。ハワイが1898年の米国による不法併合以降、観光業やジェントリフィケーションによってネイティブ・ハワイアンが土地・文化・言語を失っていった歴史を引き合いに出し、「同じことをプエルトリコに対してやらせるな」と訴える。川、海岸、バリオ(地元の街)といった具体的な場所への愛着と、故郷を追われた人々の痛みが、二人称「お前(島)」への語りかけとして重ねられている。
Pitchforkは本曲をアルバムの「イデオロギー的中心作(ideological centerpiece)」と評し、Bad Bunnyのボーカルが途中で途切れる演出について、プエルトリコが日常的に経験する停電(アパゴン)を模倣したものだと指摘している。
Samples
Flor Morales Ramos(Ramito)
本曲の作曲クレジットにFlor Morales Ramos(Ramito)の名が含まれており、彼の楽曲がサンプルとして使用されている。Flor Morales Ramos(1915年9月5日 - 1989年2月23日)は「Ramito」の名で知られるプエルトリコのトロバドール・作曲家で、「El Cantor de la Montaña(山の歌手)」と呼ばれた。カグアス出身で、プエルトリコ山岳部の農民文化(ヒーバロ文化)を体現するアグイナルドやセイセスといったスタイルを得意とし、ニューヨークを拠点に米本土でも広く活躍した。1966年には「Ramito en Hawaii」と題した楽曲も残しており、ハワイとの縁も持つ。
プエルトリコの伝統的なアイデンティティを守り続けた人物の音楽を素材として使うことで、ジェントリフィケーションへの抵抗というこの曲のテーマが、音の次元でも重層的に補強されている。
LYRICS
Esto fue un sueño que yo tuve
これは俺が見た夢だった
Ella se ve bonita aunque a vece' le vaya mal
たとえ苦しい目に遭っていても、彼女は美しく見える
En los ojos una sonrisa aguantándose llorar
その瞳には笑みが宿り、涙をこらえている
La espuma de sus orilla' parecieran de champán
岸辺の波しぶきはまるでシャンパンの泡のようだ
Son alcohol pa' las herida' pa' la tristeza bailar
それは傷口に注ぐ酒——悲しみをも踊りに変えるための
Son alcohol pa' las herida' porque hay mucho que sanar
傷口に注ぐ酒、癒やすべきものがあまりにも多いから
En el verde monte adentro aún se puede respirar
緑の山の奥では、まだ息ができる
Las nubes están más cerca, con Dios se puede hablar
雲がすぐそこにあって、神様とも語れる
Se oye al jíbaro llorando, otro más que se marchó
ヒーバロの泣き声が聞こえる、また一人が去っていった
No quería irse pa' Orlando, pero el corrupto lo echó
オーランドへ行きたくなかったのに、腐敗した権力に追い出された
Y no se sabe hasta cuándo
そしていつまで続くのか、誰にも分からない
Quieren quitarme el río y también la playa
川も海岸も奪おうとしている
Quieren el barrio mío y que abuelita se vaya
俺の地元も奪おうとして、おばあちゃんを追い出そうとしている
No, no suelte' la bandera ni olvide' el lelolai
いや、旗を離すな、レロライを忘れるな
Que no quiero que hagan contigo lo que le pasó a Hawái
ハワイに起きたことを、お前に対してもしてほしくないから
Ten cuida'o, Luis, ten cuida'o
気をつけろ、ルイス、気をつけろ
Aquí nadie quiso irse, y quien se fue, sueña con volver
ここを離れたかった者は誰もいない、去った者は帰ることを夢見ている
Si algún día me tocara, qué mucho me va a doler
いつか俺の番が来たとき、どれほど胸が痛むことだろう
Otra jíbara luchando, una que no se dejó
また一人のヒーバラが闘っている、流されなかった女性
No quería irse tampoco y en la isla se quedó
彼女も去りたくなかった、そして島に残った
Y no se sabe hasta cuándo
そしていつまで続くのか、誰にも分からない
Quieren quitarme el río y también la playa
川も海岸も奪おうとしている
Quieren el barrio mío y que tus hijos se vayan
俺の地元も奪おうとして、お前の子供たちを追い出そうとしている
No, no suelte' la bandera ni olvide' el lelolai
いや、旗を離すな、レロライを忘れるな
Que no quiero que hagan contigo lo que le pasó a Hawái
ハワイに起きたことを、お前に対してもしてほしくないから
No, no suelte' la bandera ni olvide' el lelolai
いや、旗を離すな、レロライを忘れるな
Que no quiero que hagan contigo—
お前に同じことをしてほしくない——
Lelolai, lelolai
(レロライ、レロライ)
Oh, lelolai, lelolai
(オー、レロライ、レロライ)